[稲作] (有)クサツパイオニアファーム

| 設立 | 平成4年9月 |
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| 資本金 | 300万円 |
| 社員 | 6名、パート12名 |
| 経営内容 | 水稲 25ha+作業受託延べ80ha 野菜 ハウス41棟+露地1ha他 |
| 年商 | 1億1000万円 |
| 所在地 | 滋賀県草津市 |
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代表取締役社長 |
奥村社長が、滋賀県草津市で農業を始めたのは、高校卒業後、2年余り地元農協に勤めた後のことでした。専業農家となる決心をし、母親と妻、それにパート雇用で、水稲と野菜の複合経営を始めました。所有田1.4ha、請負田4ha、山林を開墾して建設したビニールハウス200坪、露地20aが始まりでした。 |
米は農協のカントリーエレベータへ搬入していましたが、カントリーまでの往復時間、積み下ろし、待ち時間を考えると、効率的ではありませんでした。そこで、昭和57年に、乾燥調整施設を導入しました。またこのころ、環境にこだわって安全なものをつくり、おいしい米を消費者に届けたいという考えも芽生えていました。そして、特別栽培米制度が始まると、いち早くそれにのり、消費者への直販も開始しました。消費者の需要にも支えられ、次第に規模も大きくなりましたが、従業員の社会保険等の保障のことも考えると、個人経営では限界があり、会社組織とすることが最善の道と、平成4年9月1日、(有)クサツパイオニアファームを設立しました。社長自身が音響メーカーのパイオニアの製品が好きだったことと、いつもパイオニアでありたいとの願いからこの名を付けました。
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法人設立時は、夫婦2人とパート雇用での経営でした。翌平成5年の米の大凶作の時には、当社のことがNHKで全国放映されたため、大きな宣伝になり、注文が殺到したといいます。 |
図:収入(稼ぎ)と費用(給料) |
経営規模が大きくなると、どうしても雇用(常雇い)を増やさなければなりません。増やすと今度は、冬場をはじめとして仕事も増やさなければなりません。そのためには、さらに経営規模の拡大を図る必要がでてきます。
農業経験のない者は、一からの教育が必要です。始めのうちは、雇用による規模拡大で増える売上高の方が支払う給料より低い状態がつづきます(図参照)。社長は、「3年ぐらいで同じぐらいになるので、5〜6年は、自社で働いて欲しい。即ち、その人に支払った給料とその人の稼ぎ(売上)とがペイするころまで」との希望を持っています。農業者として一人前になるには5〜6年かかると言われます。経営能力を身に付けるということになると、さらに年月を要します。しかし、若者は早く独立したい気持ちが強いので、なかなか思うようにはいかないようです。それでも、農業後継者が育つことを喜んでいます。
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奥村社長は、規模拡大の過程で、草津市から少し離れた守山市の野洲川の旧河川敷が畑地造成されたことを聞き、貸与を申し込みましたが、地権者から、地元の者でないことを理由に拒否されました。しかし、これにめげず、知恵を絞り、守山市にとっても有益になるよう同市に籍を置くことで、やっと了解が得られました。平成10年のことでした。 |
米の乾燥調整施設 |
この5人は、全くの農業の素人でした。しかも、イベント会社経営、トラック運転手、サラリーマンからの思い切った転職で、中には妻子のある人もいました。このため、後がなく、何が何でも農業で成功してみせるとの意欲の強い人たちでもありました。
初年は、12haの借地でカボチャとジャガイモの露地栽培を試みたものの、暗渠排水が施されていないことに気づき、苗を返却するなどして大幅に作付けを縮小しましたが、それでも収穫期に水が引かず、惨憺たる結果となり、肥料代、人件費代等大幅な赤字となりました。しかし、失敗は成功のもと。暗渠排水を敷き、ハウス施設も整備し、今や、オーネット農場は10haの農地の中にハウスが150棟建つまでになりました。生産された有機野菜は、生協を中心に契約販売され、先の新規就農者も今や立派なリーダーです。
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稲作は、現在、アイガモ農法等による有機栽培が20ha、作業受託で販売まで任せられている減農薬栽培が10ha、その他、かなりの作業受託があります。15年産は、全国的に不作のため、市場では米の価格は高騰していますが、生協等と契約していますので、あらかじめ決められた価格で販売しています。野菜は、オーネット農場が中心となって栽培しています。主に、ほうれんそう、小松菜、イタリア野菜のルッコラです。ルッコラは、まだ、日本での流通は少なく、飛行機で輸入されている野菜の一つです。 |
野菜栽培のビニールハウス |
奥村社長は、日本農業法人協会のOJT研修も受け、米や野菜の栽培や経営についての指導も行なっています。インターネット等を見て、非農家で農業に就きたい人や研修生が全国から集まってきます。社員が若く、非常に話を聞き易い雰囲気にあり、また、社長本人も、面倒見が良く、懇切丁寧に研修生を教えています。今回の取材時にも、納得のいくまで、ボードを使いながら説明してくださいました。
中には、ここで出会い、結婚して独立していった人もいるとか。また、この2月、滋賀県出身の社員が独立した際、クサツパイオニアファーム出身ということで県が支援を決定する、というレベルにまで当社の地域でのステータスは上がっています。
奥村社長は、昨年10月から、市議会議員として、地域の発展のためにも活動しています。農業だけでなく地域全体のための活躍が期待されますが、学校給食での地元農産物の利用、環境問題、研修生受入れのための研修施設の建設など、更なる農業問題にも取り組んでいきたいと考えています。
「危険」「きつい」「汚い」の3Kから、観光農園、農業体験など、消費者との交流を重視しながら、地元を巻き込んで、農業を「観光(交流)」「環境」「健康」という新3Kの産業に仕立てていくという当社のパイオニアとしての仕事は、今後とも絶えることがありません。
(リポーター 西尾進 近畿支店)
AFCフォーラム2004年3月号